創書日和「紅」 じゅう。
ゆるこ



明け方近くに咲く花をキスマークと名づけた
女の子の秘密を隠す紐は痕を残す。なまめかしく。


お酒を飲んだ赤ん坊が含んだ母親のたらちね
鈴の音が鳴り止まないのは赤ん坊の口内から脱脂綿が消えたから


炎のように燃える秋
黒髪の処女はようやく100枚の反省文を書き終えた。


手のひらがお迎えにあがった、といって、父は息を引き取った
秋が加速する。赤ん坊が空を掻いた。


橙のタンブラーを君と時差で買ったのには特に理由はないけれど、
氷がなかなか溶けないあたりが、今日も君と僕を繋ぐんだ


ひらひら、ごおおう、ごおおう
風鳴りの中に鬼ごっこをする子供の声


ファインダーが世界のすべてな訳ではないんだ、と、熱弁をふるう大人に
はい、と、私は片目をやった


ぐーちょきぱー、ぐーちょきぱー
始まらないじゃんけんぽん


泣きはらした。夜が明ける。
朝だ、朝だ。眩しいと、空を掻いてやった

10
寄り添うようにルージュが迫れば、白いシャツが汚されよう
秋は巡る。両手をひろげて。



自由詩 創書日和「紅」 じゅう。 Copyright ゆるこ 2009-09-13 01:09:41
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