冷めたスープ
葛西曹達

いつの間にか冷めたスープ
食べられなくはないけれど
温め直して飲みたくはない

いつになく不機嫌な声で
悪態をつく君の顔は
ここからじゃ見えないから
うなだれることもできない

僕はもう疲れたよ
君ももう疲れたかい?

いつの間にか冷めたスープ
色は濃くなっていくけれど
食べる気には全くならない

暇があれば取り合っていた
連絡ももうなくなって
この先は見えないから
悲観することもできない

僕はもう十分だ
君ももう十分かい?

いつの間にか冷めたスープ
量は減ってないけれど
もう食べたいと思えない

苦しさと楽しさが
同時にマヒしてしまった
喜びと悲しみは
容赦なく僕を襲う

いつの間にか冷めたスープ
食べないなら捨てればいいのに
どういうわけか捨てられない


自由詩 冷めたスープ Copyright 葛西曹達 2009-09-13 00:33:12
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