雨の一滴
小林 柳

ガラスの向こうで雨は
規則的に降り続いていた

ベランダの花を
静かにたたいていたのは
儚さに惹かれた空の
答えのない 問いかけだったのだろう

いくつも落ちてくる雨粒

空から僕を訪ねる
いくつもの魂

見上げる僕の視線と
いつか別れてしまった人々は
会えないまま

時は過ぎてゆく





灰色のプラットフォーム

広がる重い雲の下で
何度も列車を見送った

線路の上 遠くなる最終車両
目的地は 空白のまま

明日には僕も
そこへ向かうのかもしれない

いつの間にか駅には
また人が溢れていく


雨は相変わらず
今も降り続いている





雨粒や 人の命の 落つるなり



自由詩 雨の一滴 Copyright 小林 柳 2009-09-12 21:45:15
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