少女と死と少女
ヨルノテガム







いつもよりゆっくりに
同じ場面を進んでいる
足踏みが一歩多いよな
グラデーションは
秋の日と夏の終わりの

何者へと変化してゆくのかしら 静かにアタシは

木の幹に隠れるから 
アナタは雨の影に隠れておいで
手をつないで運命の隣り
玩具みたいに従順だった
始まりが真っすぐな終わりだったなんて
ワタシたちは肩を寄せ合う、キス。

収束してゆかない
とぎれとぎれのおはなしが
わたしたちのことなんて、キス。

アナタが走り出して
ワタシも後を追う
ワタシ、アナタのおとこになりたい
つよく守れる、そしてアナタを
ずっと嗅いでいたい
髪をかき上げてふたり、
見つめ合って笑う 素敵なアナタ、
ワタシとちがうアナタ、同じ日に夢の中で
かくれんぼしたはなし、いつまでも憶えている、キス。

ワタシはアナタをすぐ見つけるけど
アナタはワタシを見つけてくれない
ワタシが鬼の番、アナタはゆく先々で現れる、一遍に
何十人ものアナタを見つけたりした
この景色は怖いくらい美しくて怖いくらい同じで
ゆっくり繰り返した

あまりにアナタが好きで
悲しくなって涙が出たとき
アナタのひとりは あなただけの人形になるわ と言った

アナタが鬼の番で、幾つかの季節、
何年も鬼で、そしてワタシは途方に暮れる




















自由詩 少女と死と少女 Copyright ヨルノテガム 2009-09-09 23:46:08
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