宇宙が目眩をおぼえている間
瑠王

宇宙が目眩をおぼえている間
数億年の細胞 私達はその目眩の中を浮かぶ旋回する銀の羽根
の呼吸によって翻弄される綿毛
延々と降下 そこに支配などない

人が花びらを一片一片千切るように
あるいは石を彫るように
の呼吸によって旋回する銀の羽根

目指す先など無く
ただ宇宙が目眩をおぼえている間
数億年の細胞 追憶に瞬く蒸発
地上のすべての構造が火と調和を知ったように
延々と受け継がれる意識 そこに支配などない

宇宙がうつむいて揺らめく間
私達が現れて揺らめくだけ
の黄昏を放浪する秒針の閃光

そして宇宙が憂鬱をやめ
翼をうねらせて去りゆく頃
残された巣はせめて私達の架



自由詩 宇宙が目眩をおぼえている間 Copyright 瑠王 2009-09-09 17:47:54
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