暑さの残る日に
照留 セレン

渡りゆく空がなくても
鳥かごのツバメは夏が行くほうを見る

草ひばりの声を聴きながら
日に当たる頬の熱さは
夏をしっかりと覚えているのだが
頭を垂れた稲の穂が首を振る

入道雲が突然泣き出しては千切れていった後の空で
羊の群れがのたりのたりと旅している

もう去ってしまったのだ
風は涼やかな秋の化粧をして
朝に夕に踊っている


自由詩 暑さの残る日に Copyright 照留 セレン 2009-09-04 21:13:16
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