慟哭
中原 那由多

退屈そうな視線と頬杖
残暑は緩やかな日々に降り注ぐ
片時も放さないでいたい願望
眠気を忘れて胸が痛くなる
もっと夢中になるために
知らない声を集めよう


迷いの森の中
ずっと深く入っていく
ここを抜ければきっと
純白に似た香りと抱き合える
私は未だ暗い道の途中


気品に溢れた果実
冷たく白い手
不協和音の旋律
思い描いた物語
見落としていた共感
宛先のない手紙


音なく芽生えてしまった
見捨てられたはずの瞳に映る
月明かりの微笑み
安易な欲望を飛び越える
倒錯した感受性
落葉樹に寄り掛かるくらいの苦悩


もう、奪い取ってしまいたい




自由詩 慟哭 Copyright 中原 那由多 2009-09-03 20:45:44
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