「潮騒」
月乃助


光来の海に
想うまま 焼けた砂を飛ばせば
来歴は誘われ
まばゆい白波が綾なす 潮騒の天覧模様
小さな島の
漁師の若者と海女の娘の
恋物語

しのつく雨がたたく嵐の午后は、導きの 
素顔のままの 息づきに
火照る肌ゆえに求める 純情

「その火を飛び越して来い。
  その火を飛び越して来たら。」

炎の向こうに 若さゆえの
娘の声が ひび割れたガラスに 
真摯に/永劫に 響く

険しいがゆえに初恋は、すべてをささげ
かける いのちほどの
わずかな 休みも
遊びさえない 一点に集約され
愛しい耀き

…ならば

ぼくもまた
燃ゆる火を越えて ゆこう
そして あの若者のようにとらわれず 強く
きみの すべてを抱きしめ
この手にしてみせる



自由詩 「潮騒」 Copyright 月乃助 2009-09-03 14:38:17
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