北緯38度線
ブライアン

苛立っているのは誰か。
人差し指が差す方角には、砂利取り場がある。
緑に覆われた、不恰好な山の斜面では、
今もビアガーデンがされている。
亡霊たちの。
いわくつきの食用蛙たちの。

西瓜畑に広がる、遠近法の山脈。
霞む輪郭。飽和する空気。
ソヴィエト連邦のラジオ電波が届くように設定された、
北緯38度線に、石碑が建てられる。
西瓜団地創設にあたって。

100円の缶ジュースをめぐる攻防の末、
泣きを見た少年は、急斜面の上り坂で空に包まれる。
森林から寄せられる、陰り。
空から放たれた、ぼやけた輪郭を享受せよ。
20年前の政治的声明を、
薄汚れた6段階自転車で。

闇に包まれた田の前で、輪郭をたどる。
50m間隔よりももっと隔てられた電灯に、
無数の昆虫が集まる。
100円玉がポケットから落ちる。
もはや大金ではない、そのコインが
田の脇の用水路に、ぽちゃっと音を立てた。

宴は明後日の夜だった。


自由詩 北緯38度線 Copyright ブライアン 2009-09-03 00:07:45
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