末期症状
……とある蛙

何を言ったところで、
地平線まで埋まった
人類の群れは
いっこうに減る気配など無く
眼の前に蠢いている。

こんな気配を感じたとき
我々は目を見開こうとはせず、
もちろん、目を瞑っていたわけではないが、
ひらひらと中空から落ちてくる
きらきらとした
紛い物を一心に見つめていた。

もうそれが紛い物と分かっていても
我々は中毒患者のようにその方向を見つめ
多くのものは足を踏み外して
立って歩くことすら出来なくなった。

地上は
薄汚く着飾ったアイドルや
救済を叫ぶ偉人たち、
楽が出来ると声高に叫ぶ詐欺師たちで
充満し、
何かを語ろうとする善人の唇を
その唇のある口に砂を目一杯詰め込み
黙らせ、嘲笑い、罵り
唾を吐きかける者だらけになってしまった。

俺は何やってるんだ!
おまえも本当のことを言ってみろよと
猫に語りかけるのが落ちのような
そんな世界だって 一人で呟く。
歩き疲れてる黄色の道はもう砂だらけだ。
みんな口々に変革を叫んでいるが、
さて、どちらへ行ったらいいものやら。


自由詩 末期症状 Copyright ……とある蛙 2009-08-26 16:37:46
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