「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には鴨の香草焼き
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には蝙蝠のフライ
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には子猫の丸焼き
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には十指のソテー
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には両腕のスープ
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には肉塊のステーキ
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には踝のシチュー
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には両足の煮込みと爪のゼリー
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には心臓のパイ包み
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には金粉塗れの頭部
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる


古い館の、古い大広間、古いテーブル、古い柱、古時計、月の満ち欠けと同期している耳鳴り


日常を送っていたと思い込んでいたのに、通学路を歩いていたら迷い込んだ森
森の奥の館には獣臭い使用人が待っていて、獣臭い着物を与えられて、獣臭い椅子に座らされて
古い庭園には紫の花が生い茂っていて、古い墓地には真新しい十字架が乱立していて、時折、館のどこかが突風に揺れていて、ギシギシと音がして


「本日のメインディッシュとさせて戴きます」
と、知らされて