ねこのこごと
……とある蛙

僕はパソコンの前にいて
女房はミシンで縫い物を
僕と女房の間には我が猫が、
我が黒猫が女房と僕の顔を
とっかえひっかえ
見上げていた。

猫は突然しっぽを上げ
僕の前を横切って
キーボードを踏み台にして
部屋の扉に飛びついた。

パソコンの画面はでたらめに、
僕の苦労はでたらめになり、
猫はみゃーあああと長く鳴き、

僕はいらついて猫をはたきながら
こらぁなどと言ったが、
逆に女房に小言を言われ、
扉の前、チョコンと座った
黒猫はキョトンとしていた。

ルビは外に出たいんでしょと女房が、
猫の気持ちが分からないのかと詰り、
僕はなぜか暗い気分になりながら

猫の気分が分かるくらいなら
とっくにあんたの気持ちが分かっているはずなんだよなぁ
などと反論したいが小言でぶつくさ言うだけで

結局、僕にはいつまで経っても分からないことだらけで
一から出直しの毎日
このことはパソコンだけではないもので
少しため息をついていたのです。


自由詩 ねこのこごと Copyright ……とある蛙 2009-08-23 14:00:54
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