腐蝕の林檎
中原 那由多

傷つけようとする者は
傷つくことを何より恐れる
ガラスの剣の鋭利さに惚れ
ずっと捨てられないままに握っている

だから貴女は笑えばいい
馬鹿と、馬鹿と


運命に身を委ねると言えば格好付くだろうか
いつか出逢えるとほうき星
夜空見つめて朝を待つ
あれはいつのことだったのか

嗚呼貴女は毒せばいい
愚図と、愚図と、


黒髪に翻弄されたら
どうあるべきか忘れてしまう
眼球も吐息さえも
愛執の血潮に立ち眩みながら
ただ一つだけに飢えている


ただ欲しいままに掴もうとする掌は
白く小さな羽根にさえ容赦ない
何もかも奪い取ってやりたくて
破滅を避けるためには仕方なく
夢を赤裸々にした




自由詩 腐蝕の林檎 Copyright 中原 那由多 2009-08-23 11:58:44
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