花
曠野
一匹の昆虫
一枚の葉
それだけの世界
それだけでおしまい
卵からかえった時のことを
思い出していた
すぐそばに食べ物はあり
何も問題はなかった
ただ生きて死ぬだけだと
感じていた
けれど見上げれば
太陽も月も星もあり
金や銀や宝石のように
あたりを飾りうるおし
お前にも役目はあるのだと
おそわった
見上げれば
よい匂いがしていた
何枚かの薄色の天蓋が揺れた
わたしはとても幼い
いとしい花を
託された
自由詩
花
Copyright
曠野
2009-08-19 13:53:11