夏の猫
kauzak

蝉時雨が肌を刺す
てんでに湧き起こる
雲の峰の下
白き猫と対峙する

突然の珍客に身構えた
野生の瞳は鋭く
こちらを値踏みしている
ようだが

耳はフルフルと
右へ左へ落ち着かず
全方向に
気を張り巡らせている

気まぐれな風が飛ばした
発泡スチロールの箱

発てたノイズ
にビクリと反応して
音の方向を一瞥する

何もないことを確認すると
こちらを今度は
チラと一瞥して
もう関心もなさげに
横を向いてしまう

その顔立ちは端正で
蝉時雨はなおも肌を刺す


自由詩 夏の猫 Copyright kauzak 2009-08-18 01:20:41
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