丸、に尽いて。 
服部 剛

夕暮れの歩道橋から 
今日も街ゆく人々を、眺める。 

一人として同じ顔はないけれど 
無数につらなる足音に耳を澄ませば 
ぼんやりと 
誰もがのっぺらぼうの 
丸い顔に見えて来る 

歩道橋に立ち 
それを眺める僕も 
遥かな昔 
丸いいのちの姿をしていました 

( 人々の賑わう声は、遠い日の夢・・・ ) 

森の緑の上に沈む、夕陽は丸い 
東の夕空にうっすら浮かぶ、月は丸い 
僕がこうして立っている、地球は丸い 
老いも若きもあらゆる人の、こころは丸い 

いつか、歩道橋から眺める 
暮れなずむ街の風景が 
家路を辿る人々が 
僕自身が、消え去る日も・・・ 

○は、のこる。 








自由詩 丸、に尽いて。  Copyright 服部 剛 2009-08-17 19:41:14
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