いつか子宮に還る日に
within
海月が波に流されて浜辺へ打ち寄せられた
今年も何かが終わってゆく
めぐりめぐる喪失の流れ
ぶよぶよとした透明な塊は
逢瀬と誕生の名残り
てのひらに白い貝殻をのせ
息吹の痕跡を確かめる
どこかでまた産声があがる
生まれた
輝ける太陽のもとで
億年の灼熱と
万年の氷河に耐え
遺伝子は震え
出会った
差し伸ばされた手をはなすものかと
華奢で細い指と無骨で太い指とを
絡めあう
ぶよぶよとした塊をすくいあげる子らの笑顔
また明日に絶望が鎌首をもたげても
繋がっていられれば、それで重畳
頬を伝う涙も 乾いた唇も
確かな温もりを孕んでいる
無言の海月に自らを映して