鈍行列車に乗って
ゆうさく

地表から湧き上がる夏を
青草は隠して
かすませて美しい

ゆらめく
蜻蛉の影から
夕暮れのひかりへと
だれかの想い出が
続く
そうやって
かみさまは遊ぶ

へばりついた空音
田園におおいかぶさって
あしたができてゆく

列車から吐き出す煙が
不透明で
景色に混ざり合わずに
ぐれている

この赤茶けた列車に
せかいはついて行く
ちきゅうの中心がずれてゆく
空から美しく
直線をひきなおせ

ずれてゆく

ぼくが降りると
ぼくをおいて
また鈍行列車は
走り出す
赤茶けた色を
ゆっくりと
夏風で洗い流していく

ぼくをおいてゆく

ずれてゆく


自由詩 鈍行列車に乗って Copyright ゆうさく 2009-08-16 12:21:20
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