わたしの体 -Night or Noon-
百瀬朝子

片隅に置かれた人形は汗をかいている
滴る雫は畳に吸い込まれる
部屋は水槽
水が満ちて、満ちて、満ちて
月影を残して
わたしの体を夜にする

性と性が繋がり生になる
欲望と欲望のぶつかりあい
上気する体
あのにおいがいや
虚無がわたしの夜に穴をあける

言葉が事実を嘘にする
あなたも/あなたも
不協和音に堕ちてゆく
片足をひっぱる正体を
きみは知らない

コーヒーの朝
湯を沸かすきみが憎い
一刻も早く終わらせようと
強火で湯を沸かすきみが
きみが
きみは
わたしを
見ない
きみは
鏡の中のきみが大事

開く扉が水を逃がす
水槽は部屋になる
現実が冷めて、覚めて、醒めて
夢のしっぽを残して
わたしの体を昼にする

そして
再び何度でもやって来る
二度とない夜を待つ


自由詩 わたしの体 -Night or Noon- Copyright 百瀬朝子 2009-08-13 15:50:01
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