マリーナの夏
……とある蛙

コンクリートの石垣と
区分けされた高台の下
淀んだブルーの海に
白いヨットの群れが
白いダンゴムシの死骸のように
そして、漂っていました。

風は海から吹いていたはずなのですが
魚の干物のような匂いをしていたので
僕は思わず顔を背けてしまいました。
あ〜これから
話し合うことがたくさんあるのに

美しい心と
美しい経済
美しい振る舞いと
美しい生活
について

テレビコマーシャルで謳歌された
明るい日本の風景の
残骸だけがまだそこにはありました。
リッチなおいしい生活の残骸が

すべての希望が
すべての絶望のようで
皮肉屋のボートネックのヨットマンは
皆東京に帰ってしまいました。

美しい心と
美しい経済
美しい振る舞いと
美しい生活の残骸を置いたまま


自由詩 マリーナの夏 Copyright ……とある蛙 2009-08-13 15:39:13
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