残された部屋のなか
within

 いつの間にか捨てられていた 僕の渡したピアス

 何の予告もなく
   前触れもなく
 いつから途切れたのか 君の送信が

 
 何度 受信を選択しても

   新着なし   と表示されるのは 君の僕への残りメモリー

 何度 履歴を読み返しても

  君の絶望を見つけることはできなかった
  
   静かに運行を続ける終電車
   息づかいさえ聞こえない弦月

 
 足あとも残さず 去っていった
 それが君の優しさ

 送信すれば 僕の思いは届けられる
 変わらないアドレス
 それが君の優しさ

       
       言葉に頼ってばかりだった
       もっと近付きたかったのに
       いつしかウェットからドライへ

     そして蒸発した


   腕に残された傷痕に
   後悔ばかりが残る

   この傷 一本 一本 が、君への想いだから
   忘れることができない

    プリントアウトされた 僕の書いた君の小説


自由詩 残された部屋のなか Copyright within 2009-08-12 11:39:04
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