かつての夏
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川っ縁のベンチに座りながら、父は鼻毛を抜き、息子は顎鬚を抜いている。
昼間っから開いている呑み屋を探し疲れて途方にくれていたのだ。

暑いからと言っても喫茶店などに入ってコーヒーを啜るなどという発想は持ち合わせておらず、
ただただ寂しい街中を彷徨い続けたのでした。

辛抱強く川原で呆けた後、高級日本料理屋に連れてってもらう。
ムダにこじんまりした高いだけの料理をバクバクたいらげながら日本酒を煽り続けた。

どこに行ってもタダの呑み屋にしてしまうこの親子は赤提灯にでも行っとけってコトで、
次回は屋台でおでんでもつつこうぜってコトになりました。

ほろ酔い気分で帰宅の電車の中、浴衣姿のネーチャンに心を奪われっぱなしのダメ息子なのでした。



散文(批評随筆小説等) かつての夏 Copyright BOOKEND 2009-08-11 15:23:23
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