空き地
……とある蛙

作文書きます。

 自分の原風景は間違いなく 富ヶ谷の家の隣の空地だ。そこには子供の時のことが全部詰まっている。その空地に面して土手がある。土手と呼んでいるが、松壽町のお屋敷の敷地の一部で、入ってはいけないはずの土地ではあった。しかし子供は平気で出入りしていた。そこに基地と称する穴ぼこを掘って遊んでいた(斜面に横穴なので大変危険である)。
 悪餓鬼共と遊んだだけでなく独りぽっちでもそこで遊んだ。空想(妄想に近い)の中では自分はいつもヒーローだった。

 ワシントンハイツ(代々木のオリンピック青少年センターになった)の外人のガキ共と集団で喧嘩になった時の主戦場もその空地だった。原因は外人の子供が我々の仲間内の子供に対する学校帰りの嫌がらせである。
 なかに頭のよいやつがいて、どこでどうなったか泥玉をススキの茎につけた手榴弾様のものをぶつけ合って勝敗を決めることにした。この手榴弾、茎を持ってトマホークのように振って投げる。変わった喧嘩だったが、将校連の子供たちは家の近所の屋敷に住んでいて駄菓子屋に出入りする顔見知りだったし、本気で敵対していたのは、ワシントンハイツに住んでいた下士官以下の子供たちだけだったので、まぁ呑気なものだ。
 泥球をぶっつけられた子供は捕虜となって、相手方陣地に抑留される(オーバーではあるが)。
 ワシントンハイツ近くのビルの屋上から戦闘開始の合図が旗で示され、泥球戦争は始まった。判定者がいないため、途中から本当の泥試合になってしまった。主戦場の空き地は阿鼻叫喚の地獄絵と化した でもないか。
 最後、勝敗は決まらずウヤムヤのまま、終わってしまった。
あ〜楽しかったのである(バカボンのパパのようだ)。もちろん親からは服を泥だらけにしたのでずいぶんと叱られはしたが。
 東京オリンピックのはじまる少し前のことである。



散文(批評随筆小説等) 空き地 Copyright ……とある蛙 2009-08-10 10:11:12
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