緑色——笹
照留 セレン

地下に茎を這わせ
自分の映し身を作りだしながら
林の下でじっとしている
木々に塞がれていなければ
もっと伸びていける 気がする のに

空を見上げたのは新芽のうちだけだった
林の土を抱きしめて殖えていく
それで満ち足りている と 思っていた

あるとき 何か震えるような怖さを感じて
花を咲かせる
今年は大変な凶作になるかもしれない と
また 天変地異があるかもしれない と
人は騒ぐが

林の下でじっとしている
たくさんの 映し身ごと 枯れてしまおうか


自由詩 緑色——笹 Copyright 照留 セレン 2009-08-08 19:58:45
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虹の七色