小川の小径
あおば


髪の毛が黒いからって
卑屈になることはないわよ
金色の美しい髪をなびかせて
女神がささやく
ふらふらと付いて行こうとしたら
いつのまにか小川の向こうの小径を
すたすたと歩いている
ぼくたちみんなも飛び越えようとして、我がちに突進するけど、勢い足らずに、次々に落っこちる

溺れて藻掻きながら流れて行って
誰も居なくなった明るく晴れた
小川の小径の午後の風景

今日も髪の毛が黒いからって
卑屈になることはないのよと
優しい声で耳元で囁くから
溺れるものは後を絶たない

金色の美しい髪をした女神が振り向くたびに
自殺者が激増して
小川が溢れ
海の底を深くするから
あの憎い小川の女神を殺せと
命令する声は聞こえない
女神に抱かれ
死んで行くのを夢見て
一日中を過ごす
誰も居ない明るく晴れた
小川の小径の午後の風景







自由詩 小川の小径 Copyright あおば 2004-09-08 08:15:23
notebook Home 戻る  過去 未来