眠る図書館
衿野果歩

静寂は痛みを内包する
そう教えてくれた君の
頁をめくる指先を
真剣な横顔を

心の底に沈めて
眠らせる記憶

らせん階段を登り
3階のキャレルへ
君の残り香を探す
八月の図書館


開かれることなく
書架に眠る物語は
沈めた記憶と同じ

伸ばされるその手を
再び求められる日を
ただ黙って待っている


自由詩 眠る図書館 Copyright 衿野果歩 2009-08-02 21:26:03
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