銀河鉄道の夜
不可思議/wonderboy


カーテン越しに差し込む光で目が覚める
心臓に手を当て今日も生きてることを確かめる
窓を開けても見慣れたあの風景はないけど
その代わり見えるのは青く光る地球だ
このステーションに来てからもう一ヶ月が経ちます
銀河鉄道のレールは着々と延びていきます
無重力にも宇宙服にも慣れたけど
君のいない朝にはいまだに慣れることができません
出発前日の君の表情を思い出すたび
家を出る直前にくれたお守りを握り締めるたび
何度となく胸がしめつけられるけど
許して欲しいこれが僕の夢ってゆうやつだ
銀河鉄道のレールをつくるっていうこの仕事は
想像していた以上にやりがいのある仕事です
あらかじめ決められたレールをただ走るのではなく
自分でそのレールをつくっていけるのだから
はからずともこの仕事に人生を重ね合わせて
どこまでもどこまでも続いていくこのレールを
見たときに太陽の光を反射して輝く
その光景の美しさを僕は言葉にできません
ちょうど今も地球がはっきりと見下ろせる
日本は夜だから君はぐっすりと眠っているのかもしれない
宇宙の片隅で君の寝顔を想像するなんて
そんなこと10年前に誰が想像しただろう!
この人類初の銀河鉄道が開通したらすぐにでも
君を連れてもう一度ここに来ようと思ってる
この神秘的な奇跡を次は2人で見たいから
もう少しもう少しだけそこで待っていてくれよ
人類初の銀河鉄道が開通したらすぐにでも
作業場で拾った一番星を持って帰ろうと思ってる
この神秘的な輝きを君にも見せたいから
もう少しもう少しだけそこで待っていてくれよ
こんなふうに離ればなれになってしまうことは
寂しいけれど決して悪いことばかりではなくて
お互いを成長させたりもするから今は
ありがとうとかまた会おうとかありふれたことが言いたい
こんなふうに離ればなれになってしまうことで
君の大切さが身にしみてわかるきっかけになってる
たくさんの言いたいことがあるはずだったけど今は
ありがとうとかまた会おうとかありふれたことが  言いたい

カーテン越しに差し込む光で目が覚めます
心臓に手を当てるあなたの癖を思い出します
窓を開けるといつもと変わらない風景だけど
近頃は逆に私を安心させてくれます
あなたが行ってしまってからもう一ヶ月が経ちます
銀河鉄道のレールは着々と延びているというニュースが
こちらではひっきりなしでもう慣れましたが
あなたのいない朝にはいまだに慣れることができません
出発前日のあなたの表情を思い出すたび
私の心は不安で壊れそうになりますが
いつだって向こう見ずなあなたのことです
それがあなたの夢なら私の夢にもなります
銀河鉄道のレールをつくるという仕事はいまだに
私にはとても想像することもできませんが
どうなってしまうのかさっぱり想像できないところが
よく考えればあなたの人生そのものに見えます
こちらではもうすぐ七夕がやってきて
天の川がまっさらな夜に星の橋を掛けます
その下では子どもたちが短冊に祈っているそんな
当たり前の風景をあなたは覚えていますか?
何本もの花火が何もない夜に咲きます
こうして空を見上げていると不思議な気持ちになります
なぜだかわからないんだけど涙があふれてきて
ねえあなた本当にこの空の向こうにいるの?
あなたがこの地球に帰ってきたらすぐにでも
手をつないでいつもの風景の中を歩きたい
宇宙について熱く語るあなたの笑顔を見たいから
いつまでもいつまでもこの星で待ってる
あなたがこの地球に帰ってきたらすぐにでも
あの場所に寝転がって空を見上げ話したい
ささやくように語るあなたの声が大好きだから
いつまでもいつまでもこの星で待ってる
こんなふうに離ればなれになってしまうことは
寂しいけれど決して悪いことばかりではなくて
お互いを成長させたりもするから今は
ありがとうとかまた会おうとかありふれたことが言いたい
こんなふうに離ればなれになってしまうことで
君の大切さが身にしみてわかるきっかけになってる
たくさんの言いたいことがあるはずだったけど今は
ありがとうとかまた会おうとかありふれたことが  言いたい



たった今君の声が聞こえた気がしたんだ
こんな宇宙の片隅で たった一人たたずみ
立ち止まった僕のそばを流れ星が追い抜く
とっさに手を合わせ繰り返す僕の願いよ 届け!


自由詩 銀河鉄道の夜 Copyright 不可思議/wonderboy 2009-08-02 15:20:12
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