逡巡
ことこ

わたしの奥底で
ふるえている
くもの巣は
いつか雨宿りした
あのときのまま

  *

まぶたを閉じる
いすの下で
くれよんの匂いが
満ちてあたたか
たまに
回転したりしてみると
お母さまは喜んでくださる

  *

食パンの耳を
やまのようにかき集めて
うみの水にひたす
ぶよぶよにふくらんだ分だけ
呑み込みやすく
なる気がして

  *

雨につつまれた午後には
8の字について考える
えいえんの形はこんなにも単純で
どうせなら
擦りきれてしまえばいいのに、と
なんども指でなぞる


自由詩 逡巡 Copyright ことこ 2009-07-28 15:57:16
notebook Home 戻る この作品のURL