アイニー
あすくれかおす




朝という朝の綴じ目があいて
空が少しずつ明度をあげていく
鳥と電線と鳥と蟻たちと
まだ鳴き声はない蝉としかいない

ウォー

アイニー

声には振り向くこともなく開き続ける



かつて打ち上げられた衛星
もうずっと前から空にいる衛星達が
午前5時この5時台の景色をながめて
黙り込んでる
見たいものが見たいからという意志が
芽生えはじめている

誰も気づかないところで
始まっていくものに向かって息吹く

ウォー

アイニー





何かを失って
青を手に入れることを
錆びるというんだってね

自分の色をたしかめない






明度の上がり切った空を
手前の都合で落とせない
地下鉄にタッチパネルにブザー
びっしょりと鳴き声が降り
昼間反射熱ビル群と雑踏
変えるためでなく叫ぶ人たち
ウォー
ウォー



叫んでいる
人を愛したことがあるのだと
優しい声で








自由詩 アイニー Copyright あすくれかおす 2009-07-26 06:06:47
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