ルンペン
熊野とろろ

対象を持たない殺意が
やるせないまま数日を
行き来している

ぼくが見てきた他人の堕落が
両手では抱えきれない空間を
やはり右往左往している

高校生の衣を着たぼくだったころ
ぼくは真実のぼくではないのだと
虚構の毒を飲んでいたに違いない
そしてやはりぼくの吐き出す
すべての言葉に薄汚さや
致死量にはまずいたらない
毒のようなものがあったはずだ

これは他人から見てもぼくが見ても
どうってことのない1日のドラマだ
誰かが諦め
ぼくは表情に相反して腐臭を放つ
そんな1日を繰り返していても
到底永遠には及ばないのだ

対象のない殺意が
外界との交わりを昨日以上に断絶し始め
ぼくは身体性の暴力すら憧れはじめるだろう

辞書で調べた「ルンペン」の意味
それこそまさにぼくだと認めるほかない
一挙手一投足が脆く
どう足掻いても逃げ切ることは出来ない
ぼくの永遠は
そういった狂乱の精神のふりこの中に存在する



自由詩 ルンペン Copyright 熊野とろろ 2009-07-22 05:29:52
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