これで良い。

あなたを好きにならなくて良いのなら。

合わす眼差しの度に恋に落ち、
交わす会話の度に無力になる。

昨日までイエローサインが点滅していたのに、
今は完全にレッド。

止まれ、
近寄るな、
見るな、
触れるな、
喋るな。

信号は私を守る為にあるのだ。
踏みとどまった臆病な私を
突然現われたスポーツカーが冷やかして通る。

ふと、貴方の香りが鼻を突く。

強い洗剤の香、通り過ぎる事の出来ない想い。

貴方の名字と、私の名字とすり替えて
相性が悪すぎたからかなりへこんだ事もあったし、
こんなに美しい人を形度ってくれた、
神様に本気で感謝した事もあった。

ごめんね。

あなたを、
嫌いになった方が、好きになるより辛くないと思ったの。

開いた傷を、バンドエードで隠しても、
治った事にはならないのは知ってる。

でもね...
大人になっても消えないニキビのような恋を
今更する訳にはいかないの。

これで良い。

貴方はしょっぱい味の恋と、
永遠に鮮やかな想い出をくれた。

ほら、

目の前の信号はグリーン。