通り雨
未完

お別れの日なのに
ホームは暑いし
蝉はうるさくて
機嫌の悪い
顔をしてしまった

じゃあね

手を差し出すのが
精一杯なのに
閉まった扉に
遮断されて
あははと笑った

早く去ってよ

言われなくても
電車は動き始め
距離が開いた瞬間
何かが破裂する
音がした

びっくりした
何の音だろう

ぽたぽたと
地面に
雫が落ちてきて
空を見上げた
こんなに晴れなのに

雨が降っている

踵を返して
出口へ向うと
雨粒は
とぼとぼと歩く道だけ
ついてくる

いつか
お互いが成長した頃
必ず逢えると
信じている
だから

泣いたりしないのに


自由詩 通り雨 Copyright 未完 2009-07-16 05:43:10
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