もう戻れない
within

輪ゴムを弄んでいたら
ぱちんッと弾けて切れた

がまんして がまんして
耐え切れなくなって
もうやめたッ

自分だけの ひとりよがりを抱え込んで
苛むのは やめにした

閉じていた円は 解き放たれて
一本の道になった

自分の世界だけで 終わっていた言葉を
誰かに聞いてもらいたくて
窓を開けた

気がつくと 随分年を取って
もう若くないけど

一冊のノートを握り締め
道に挑む

先に待つのが 最果てのない砂漠ならば
先に待つのが 凍りついた氷河ならば
先に待つのが 石造りの廃墟ならば
先に待つのが 熱帯の密林ならば
先に待つのが 真空ならば

叫ぶだろう 思いのたけを

その叫びに 振り向いてくれる誰かが
この道の先にいたならば
全てが報われる

ここで老いるか
道端で倒れるか
いつまでも躊躇ってはいられない

弾けて消える うたかただから
もう迷わない

裸身をさらし
夏の太陽に焼かれよう


自由詩 もう戻れない Copyright within 2009-07-12 17:31:17
notebook Home 戻る