Rainbow
薬堂氷太

煙草の煙が雲をかき消した

それは自由を羨む
私のささやかな抵抗なのかもしれない

降り注ぐ陽光は きっと
街を歪める様に
足元をすくう様に

はたまた、眩暈を誘うように

一歩一歩確かに かみ締めながら
歩く私の邪魔をする

行く所はもう決まっていて
虹を掲げて 私もその集団に
参戦するつもりなのだけれど

心との葛藤が 私を複雑な気持ちに誘うのです

こそこそと 吹き溜まりのような場所で
いそいそと 自分たちの世界に引きこもり
堂々と 周りの世界を否定する

井の中の蛙のような 街へようこそ


そこで私は ただ歌うだけ

もう誰も牙を剥かない様に
もう誰も胸を掻き毟らない様に

世界に1つ 拳骨を入れてやりたい気分を
情けなくも 胸にしまい

焼け爛れた喉で歌を歌うのです

いつかもう少しだけ 勇気を手に入れた時

それはこの街と世界をつなぐ虹になるでしょう

それを夢見て
今は陰口のような 情けない歌声を響かせ

ただ心地のイイだけの街を歩く

そんな時 また、そばで手首が殺げる音を聞いたのだけれど
振り返るわけにはいかず
私は 泪を一粒落として
また歌い始めたのです






自由詩 Rainbow Copyright 薬堂氷太 2009-07-10 22:15:16
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