人体模型の孤独
きゃとる
私には皮膚が無い。
自分に目覚めた遠い何時かの日に、ぺろんと全部、それはそれは見事に剥けてしまったのだ。
お陰で今の私は、さながら小学校の保健室にあった、筋肉や内臓がむき出しの人体模型のよう。
覆うものが何も無く、腹の中も頭の中も、常に人様に大公開。
皮膚がある人は、その下にグロテスクな内臓があるということを、頭で理解しているだけだ。
そういう仕組みだとは知っていても、自分の皮膚の下にもそれがあるということになると、それはなかなか認められないらしい。
そして私を見て得意げに言う。
「お前はなんて醜いんだ。」あたかも自分は違うと確認したいように。
私の皮膚の無い身体は、むき出しの内臓が空気に触れて、いつもヒリヒリと痛んでいる。