外、中、その繰り返し
高橋魚

ゆれると
たおれそうになる
吊り革を握っているのに

空を見ようとしても
天井にぶつかって
視線は戻ってくる
乾いた目の表面から内部をみると
中身のぬけた卵の殻が
遺骨のような卵の殻が
見えた気がした

電車の席は
いつもよりなぜか空いていた
でも
座るわけにはいかなかった
座ってしまうと
もう二度とたてない気がして
椅子の心地よさで
空白は埋った、と勘違いしてしまいそうで
怖かった
心地よさは嘘で
終点、そしてそのさきに行ってしまう気がして

崩れそうな体を
崩さないようにぼくは探している
探している?
新しいひとを?
それとも、きみを?


自由詩 外、中、その繰り返し Copyright 高橋魚 2009-07-09 20:46:27
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