キッチン
nonya


背中越しに交わす
他愛ない会話がいい
近すぎず 遠すぎず
君の側にいられるのがいい

あまり上手じゃないハミングの周りで
立ち昇る湯気が和らぐ
とても懐かしいにおいの風下で
閉じかけた自分がほころぶ

つまらない喧嘩をした後も
君はお皿の触れ合う音で
答えてくれた
気まぐれなプレゼントを贈った後も
君はシンクとガスレンジの間で
スイングしてみせた

心が少しへこんでいたら
僕は君の背後から
付け合わせのプチトマトを狙う
振り向きもせずに
つまみ食いを企てた僕の手を
軽くたしなめてくれるだけで
心に温かい空気が充填される
僕は半日分だけ浮かび上がれる

それはさておき
今日はスペシャルハンバーグ目玉焼き添え

やすらぎを真ん中に置いて
さあ 向かい合おう


自由詩 キッチン Copyright nonya 2009-07-08 21:03:33
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