なき虫
ジャイコ

甘ったるい猫の声が
夜中の頭脳に響き渡る

肩を抱く君の
冷たい視線に畏縮した
柔らかな雨の午後

本当は何にも
解ってなんていなかったくせに

まるで味方のような振りをして
押し掛けてきた米屋の
濡れた肌色の看板は
土の奥深くに溺れてしまって
もう手も届かない

蛙は深夜に反射して
増幅をくりかえしている

まだまだきみの中指には
辿り着けそうにないのだね


こんにちは過去の未来
君にあげられるのは
私のお腹から生まれた
水色の言葉だけ


自由詩 なき虫 Copyright ジャイコ 2009-07-07 02:00:49
notebook Home 戻る