汚れたうさぎ色の
オイタル

汚れたうさぎ色の空から
アスパラの雨が降る

雨は次々に根を潜らせ
背中から空へ白いまっすぐな筋を何本も何本も何本も

川の溜まりの鋼の渦に
くるくると浮かび上がるそのひとの「きのう」

泥田に映る逆さまの空の
底のほうまで深くビルのびる「きょう」

優しいのは雨だけ? いや
夫も優しかったけど かれももういつかの雨だから

傘をささなくていいの? 雨は
あったかい雨は 夢と区別がつかないから

草むしる潤んだ背中に薄れてゆく
アスパラの雨やまない
うさぎ色の空の下


自由詩 汚れたうさぎ色の Copyright オイタル 2009-07-06 23:06:14
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