嘘つきの
……とある蛙

嘘つきたくて
小柄な爺の世迷い言

小僧よく聞けこの俺は
15の時には家出して
街から街への放浪暮らし
幾度も幾度も死にかけて
山の上から街を見て
谷の底から月を見て
たどり着いたが
元の家


小僧よく聞けこの俺は
20のころには商売暮らし
仕入れのための旅暮らし
行く先々で買いまくり
世界で一つのものばかり
仕入ればかりでそのうちに
どれがどれだか分けられず
そのまま人にくれたった。

小僧よく聞けこの俺は
40の時には借金し
夜毎夜毎の大尽遊び
女女の毎日で
幾度も人から恨まれて
作った借金5000億

小僧よく聞けこの俺は
50の時には破産して
世界を股に逃亡暮らし
他人の軒に仮寝して
他人の飯をかっぱらい
歩いた街が1000以上

小僧よく聞けこの俺は
還暦の時、帰国して
人を騙して政治家に
嘘だけついて泳ぎ切り
あっと言う間に大臣に
そのまま人の上に立つ

小僧よく聞け本当は
いつも悲しい貧乏暮らし
生まれた家から離れずに
そのまま家族の面倒見
気づいて見れば俺独り
父も母もいなくなり、
結婚なんぞ面倒で
気づいて見れば俺独り

小僧よく聞けこの俺は
人を騙したことも無く
人と争うことも無く
人からまじめとうわさされ
ただの一度も泣かなんだ

小僧よく見ろこの俺を
たった一度の世迷い言
夢を見るには遅すぎた。


自由詩 嘘つきの Copyright ……とある蛙 2009-07-06 17:10:22
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