船乗りのいない朝
瑠王

船乗りのいない朝は 突然やってくる

脳が白い朝焼けに揺れる

瞼から忍び込んで 水平線を引く

船腹をなめる波が 意を鎮めていざな

船体の軋む音が 孤絶した海を助長する

霧は生きた煙のように 船尾で割れて行列をなす

もう帰れないのだろう と思ったかもしれない

極点の大海に身を委ねて

時を喰うような眠りを繰り返し 繰り返し

胸底の岸へと やがて流れ着く




自由詩 船乗りのいない朝 Copyright 瑠王 2009-07-06 16:59:22
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