「陽は青白かった」
Leaf

晴れがましい軽快な跳躍で
超えてった
陽は青白かった


追い付けない青の弧影は解けて
夕刻に近づいて
弛く地平線に放たれた

湖畔の涼みが運んだのは
屈んだ足下から這い上がる寂寥感と
煌めく水面に反射する針のような隔世感

靡く朔風はしたり顔で
セルフレームを透かして
肩越しに掠めて往く



律動の中に埋もれそうだよ、と
規則性に反旗を翻すなら出てゆくんだな、
そう夕景が僕に充てがったのは
敢えての古ぼけた写真とジョン・ダニエルズ
     (ジャックとは親しい間柄だからジョンと呼んだ)


遠く観た青白い陽のパラダイムに依り
自分自身にもいつかの安らぎは巡ってくるだろう



嘗ての青さに任せて
どんなに腐っても
どんなに外道じみても
揺さぶられるだけの感情は
まだ持ち合わせているようだ


今は偏狭だからとて
マイナーコードに展開す
一筋の青白い射光は
ある範疇の旋律とリズムで
またいづれ僕を射す

そしてさっきまでの
旋律とリズムは
暮れた湖畔に
溶け沈んだ



徒労に終わるだけなら御破算だな、
居辛くなって思わず吐いた裏腹な捨て台詞
それを知ってか知らぬか

晴れがましい軽快な跳躍で
越えてった
陽は青白かった



自由詩 「陽は青白かった」 Copyright Leaf 2009-07-04 20:02:13
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