電車とホームの間
新守山ダダマ

電車の中で引きこもりたい
終点のない電車の中で
世界の車窓から世界を永遠に見送りながら
眠くなったら好きに寝て 寝過ごして
車掌に起こされることもなく 親切な客に起こされることもなく
旅を続けながら引きこもりたい
見ているだけの人になりたいのだ
どこにも参加せず 家でじっとしているわけでもなく
動かずに動ける一番楽な方法
そして世界をどこよりも落ち着いて見られるのが電車の中だ
満員電車は例外だけど
電車の中で座れたら その席が自分の玉座だ
そして錯覚にとらわれたい
動いているのは窓の外で 止まっているのが電車だと
世界はあまりにも速すぎる乗り物だ
みんなどこかで降りたいけど どこで降りればいいのかわからない
駅のホームには降りたくない 家のホームにも帰りたくない
本当のホームを探している


自由詩 電車とホームの間 Copyright 新守山ダダマ 2009-07-03 22:22:09
notebook Home 戻る