No Name
かのこ

ずたずたに切り刻んだり、
くしゃくしゃに丸めたり、するわけでもなく
例えば、鼻をかんだティッシュと一緒に駅のごみ箱へ
自らの名前を捨てた。

あの日から。

手を繋いでも口付けても、抱き合っても
呼んでくれないのは、呼ぶ名前がないから。
きっとその方がいい。


答は導き出したところで、いつも言い訳になった
間違いだと思うのは、その所為だろう。



否定する。拒否をする。
実体が今、此処にある。


だから、悲鳴で耳を塞いだ。
塞ぐ為にあるようなものだもの、耳なんてさ。


自由詩 No Name Copyright かのこ 2004-09-04 03:42:21
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