少女A
衿野果歩

土砂降りの校庭から
駆けてきたあの人の
透けた鎖骨に
胸の筋肉に
魅せられた
あの夏の日

頬を染める
息を止める
激しく脈打つ
濡れたカラダを巡る
あの熱の正体に

気がついた今朝

赤いチェックの傘に
守られてあの人は
ちっとも濡れていなかった

奪ってしまえればよかった
雨の中
ずぶ濡れにして
抱きしめてしまえば
よかった


自由詩 少女A Copyright 衿野果歩 2009-06-27 21:19:24
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