マリアの数だけ強くなれない。
かのこ

急坂を自転車で滑り降りながら
葉桜に見惚れていたら
視界がひっくり返って
廻ってた、ぐるぐると

マリア様はそれを
相変わらずな微笑で
見ていた。
真っ白な、
イエス様はずっと
産み落とされた瞬間のまま。


急坂を自転車で滑り降りながら
葉桜に見惚れていたら
世界がひっくり返って
廻ってた、ぐるぐると

マリア様はそれを
相変わらずな微笑で
見ていた。
真っ白な、
イエス様はずっと
産み落とされた瞬間のまま。

永遠に
産み落とされた瞬間のまま。


擦り剥いた膝は
その年、初めて蝉が鳴いた日に
完治した。
イエス様を抱き続ける
マリア様の
あの白い腕は疲れない。

だからだ、
わたしはずっと
産み落とされた瞬間のまま。



自由詩 マリアの数だけ強くなれない。 Copyright かのこ 2004-09-03 17:15:14
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