「星誕」(せいたん)
月乃助
十四歳
青空のすぐ裏側に閃光する星の声があった
焦がされた満ち足りぬ想いが小さな明かりに導かれて
私の体に落ちてくる
いや星は螺旋の雲の道をつづら折り
それはもう銀河から放たれた存在なのに
流れる大気に感応し燃焼し
想いを隠す守銭奴
現在ではなく未来に追いやる、炎のかたまり
めらめら 立ち上ることなど許さぬ落下速度
午後の校舎の屋上は、風の中で
男の子たちと遊ぶことを知らず天を仰ぎ
昼星の瞬きのそのひとつが流れ落ち
星など眼にしたこともない深海魚の水圧に負けぬ
尾鰭の動く柔らかさで妹を抱くように腕をひろげ
待っていた
若さを蒼く燃やす私に迎合する
星は逝きつく先に至り、喜びの澄んだ声をあげる
一つの完全体になった私達は今では互いを求め合い
熱を増す新星の私達の誕生が、やってくる
微笑をうかべ何も恐れることがない、ひたむきな
ただ未来も星であるその瞬きを信じながら
輝き
続ける