「星誕」(せいたん)
月乃助

十四歳
青空のすぐ裏側に閃光する星の声があった
焦がされた満ち足りぬ想いが小さな明かりに導かれて
私の体に落ちてくる
いや星は螺旋の雲の道をつづら折り
それはもう銀河から放たれた存在なのに
流れる大気に感応し燃焼し
想いを隠す守銭奴
現在ではなく未来に追いやる、炎のかたまり
めらめら 立ち上ることなど許さぬ落下速度
午後の校舎の屋上は、風の中で
男の子たちと遊ぶことを知らず天を仰ぎ
昼星の瞬きのそのひとつが流れ落ち
星など眼にしたこともない深海魚の水圧に負けぬ
尾鰭の動く柔らかさで妹を抱くように腕をひろげ
待っていた
若さを蒼く燃やす私に迎合する
星は逝きつく先に至り、喜びの澄んだ声をあげる
一つの完全体になった私達は今では互いを求め合い
熱を増す新星の私達の誕生が、やってくる
微笑をうかべ何も恐れることがない、ひたむきな
ただ未来も星であるその瞬きを信じながら
輝き
続ける



自由詩 「星誕」(せいたん) Copyright 月乃助 2009-06-26 02:07:51
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