括った髪の分だけ、返して掌
kauzak

君が手を握り返してくる

ほどけかかった髪を
気にもとめずに
夢中で遊んだ帰り道

陽が傾きかけた
商店街で
君は目をキラキラさせて

さっきまで握っていた手を離して

駄菓子屋のラムネ菓子を
つかみとる

僕の掌には君の温もりだけ
まだ残っていたから

ほどけかかった髪を
解いてあげる

不意打ちに君は目を丸くして
表情が固まったけれど

次の瞬間
小さく笑う照れたように

広がった髪が
風にゆれた


自由詩 括った髪の分だけ、返して掌 Copyright kauzak 2009-06-24 23:26:18
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