八月の終わりの日

あの娘は幸せだったと言った
僕にはわけがわからない
ただ繰り返す夢を見て
白夜のカーテンを開けられずに
壊れた歌を歌っている

ひりひりと圧倒的な悲しみが
染みついてしまって
次のページがめくれない
蛇口をひねれば
ぼどぼどと
苦い水で溢れてしまう
あの娘は幸せだったと言った
壊れた歌のリフレインが
空白の今に散らばっている

空白の熱に何も施せなかったんだ

僕は立って見せた
なんでもないように
でもそれは嘘だ
僕にはわけがわからない
僕の混乱は君にはわからないだろう

風が強い
飛ばされた宝物
失くし物は緑の目
午後の日差しもまだ強く
僕を照らすのだけれども
影すら見当たらない

夏がいく
ポケットにいれておけない
しまっておけないのだ

あの娘は幸せだったと言った
それは一年前の今日だ
あの娘は輝く26になって
もう歳を取ることがない





自由詩 八月の終わりの日 Copyright  2004-09-02 11:09:04
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