水文字
青色銀河団
うす紫に、きれいに染め上がった、
放課後の、
(優しい文脈を結んで)
ぼくは 図書館で、
大好きなきみの名前を、
水文字で書く。
水文字。
右でもなく、
左でもなく、
遠いほうの手で書く、水文字。
きみの名前は、
水蒸気の冬仔のように、
縁(ふち)をもたず、
風の魚のように、
輪郭を広やかにしてゆく。
煮豆のように、
やわらかくなってしまった、
きみの名前を、
机の上から、三番目。
(花梨石のにおいのする)
ひきだしに、しまう。
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恋歌